連結子会社等の定義・範囲

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連結財務諸表(基礎編)vol.4 連結子会社と持分適用会社の定義・範囲

 前号で、今号は資本連結のお話をすると書きましたが、よく考えてみたら、連結子会社・持分法適用会社の定義と範囲の話を正確にはまだしていないことに気が付きました。
 子会社と関連会社の話は創刊号(2003/12/1号)でイメージ的な説明はしましたが、どの会社を連結対象とするのかしないのかは連結作業のスタートに係わり、その判断によって作成される連結財務諸表の姿も当然に変わってきます。
 そのため、予定を変更して連結子会社・持分法適用会社の定義と範囲の話を今号でしていきます。

子会社とは
 子会社については従前は、持株基準すなわち議決権の過半数を親会社などが所有している会社を意味していました。
 議決権の過半数を所有していれば、所有されている会社の意思決定を支配できると考えていたためです。ですが、実際の会社間の関係をみてみますと株式の所有関係だけではなく、その他の実態状況により、ある会社が他の会社を支配している現実が浮かび上がってきます。それは例えばある会社の取締役が他の会社の代表取締役となっているといった人事状況であり、また、ある会社からの資金が他の会社の資金繰りにとって大きな割合を占めているなどの資金状況があり、それらに株式の所有状況が重なり、支配関係が実態的には成り立っているという状況をうかがうことができます。

 そのため、現行の会計規定(財務諸表規則8-4)では支配の状況を従前より拡大して、次の3つのケースのいずれかに該当するとき、親会社と子会社という支配の関係が成り立っているとしています。
 (1)ある会社が他の会社の議決権の50%超を所有しているとき

 (2)ある会社が他の会社の議決権を40%から50%を所有し、かつ、ある会社と同一の議決権を行使する者との合計した議決権が50%超となるとき、など

 (3)ある会社が他の会社の議決権を40%未満を所有し、かつ、ある会社と同一の議決権を行使する者との合計した議決権が50%超となるときで、さらに、ある会社の役員・従業員が他の会社の取締役会の過半数を構成してとき

 「ある会社と同一の議決権を行使する者」とは会計規定では「緊密なる者」と「同意している者」と表現されています。

 緊密なる者とは、「自己と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係にあることにより自己の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者」であり、同意している者とは「自己の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者」をいいます。

 話がかなりガチガチになってしまいましたが、要は株式の所有だけではなく、その他実態の関係を把握して、子会社の認定がなされるということだけは覚えておいてください。


関連会社とは
 関連会社についても従前はある会社が20%以上の株式を所有している会社でしたが、次のようにその範囲が拡大しています。
 (1)ある会社が他の会社の議決権の20%超を所有しているとき

 (2)ある会社が他の会社の議決権を15%から20%を所有し、かつ、ある会社と同一の議決権を行使する者との合計した議決権が20%超となるとき、など

 (3)ある会社が他の会社の議決権を15%未満を所有し、かつ、ある会社と同一の議決権を行使する者との合計した議決権が20%超となるときで、さらに、ある会社の役員・従業員が代表取締役に就任しているとき、など


連結の範囲に含まれる子会社について
 どの会社が子会社に該当するかはわかったとします。そうしますと、それらの子会社のうち、どの子会社を連結の範囲に含めるか、すなわち、連結財務諸表の合算の対象となるかが問題となります。
 
 原則から述べますと、すべての子会社は連結の範囲に含まれます(連結財務諸表規則5-1)。

 しかしながら、すべての子会社を連結の範囲に含めますと、会社の連結に係る作業負担が相当なものになることも予想されます。そのため、連結の範囲から除外しても利害関係者の合理的な判断を妨げない程度に重要性の低い会社は連結の範囲から除外することができるとされています(連結規則5-2)。

 具体的には資産、売上高、利益、利益剰余金の4項目で重要性を判断することにしています。その中の資産基準をまずとりあげますと、親会社と連結子会社の資産を分母に、非連結子会社の資産を分子とした分数式を考え、次に売上高、利益、利益剰余金についても同様の分数式を考え、総合的に重要性を判断することになります(「連結の範囲及び持分法の適用範囲に関する重要性の原則の適用に関する監査上の取扱い」、監査委員会報告52号)。

 すなわち、会社の規模からみた定量的な数値で連結の範囲の重要性を判断するわけです。

 この場合、それなら重要性の基準値、すなわち、分数式の数値が何%以下でなければならないのかということが問題となります。この数値は上記の監査委員報告52号では記述していません。機械的にある基準値で連結の範囲に含めるかどうかの判定をすることは、必ずしも利害関係者にとって有効なものにはならないという考えがあるからだと思われますが、実務上は3%から5%という数値が目安となっていると推測されます。

 <資産基準の計算例>
  親会社の資産が5000、連結子会社の資産が1000、非連結子会社の資産を300としたとき、資産基準の値は5%{=300/(5000+1000)}となります。

 ただし、

 以上のように定量的な重要性の観点からすべての子会社を連結の範囲に含めないことができますが、企業集団にとって戦略的に重要な会社などはその質的内容から考えて、規模の大きさにとらわれることなく連結の範囲に含める必要があります(定性的な判断)。

 最後になりますが、連結の範囲はやはり重要な問題で、子会社の恣意的な連結外しが行われ、そこで不正な取引を行われれば、ときとして投資家に多大に損害を与えることになります。
 エンロンも本来連結すべき3000余の特別目的会社(SPE)を使って不適当なデリバティブ取引を行い、破産に至ったことが記憶に新しいところです。


まとめ
 (1)子会社は持株数の他に支配の状況を鑑み、判断する。
 (2)関連会社は持株数の他に影響の状況を鑑み、判断する。
 (3)子会社は原則としてすべて連結の範囲に含める。ただし、子会社の規模等を勘案した結果、すべての子会社を連結の範囲に含めないこともできる。
 (4)戦略的に重要性のある子会社などは規模に係わらず連結の範囲に含める。